企画展「アトリエシムラの桜」

春と言えば、やはり桜です。私たちにとって桜は草木染めの原点であり、大岡信さんの『言葉の力』を通じて、染織家・志村ふくみの桜染めの話は広く知られることとなりました。
時代を遡ると、桜を愛でる心は平安時代の和歌にも数多く見られます。例えば、在原業平の和歌と、その返歌とされる歌。これらは日本人の桜に対する美意識の二面性を見事に言い表しています。

世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし (在原業平 / 『古今和歌集』)

もしもこの世の中に、桜というものが全くなかったとしたら、春を過ごす人の心はどんなにのどかで落ち着いていることだろう。(桜があるばかりに、いつ咲くか、いつ散るかと気になって心が落ち着かないのだ)

散ればこそ いとど桜は めでたけれ 憂(う)き世になにか 久しかるべき (詠み人知らず / 返歌)

(いやいや、いつまでも咲かずに)散ってしまうからこそ、いっそう桜は素晴らしいのですよ。この辛い世の中で、永遠に変わらないものなどあるでしょうか。(散る姿にこそ感動があるのです)

桜を名残惜しいと思う気持ちと、散るからこそ美しいと愛でる気持ち。その二面性が、桜を特別な存在にしているのだと思います。 私たちも、桜の美しさの永遠性と無常観を桜の色に込めています。ぜひご高覧いただけましたら幸いです。

                          アトリエシムラ代表 志村昌司



▪️開催概要
日時 3月6日(金)〜4月14日(火)12:00〜17:30 水曜・木曜定休
会場 アトリエシムラ Gallery&School 東京・世田谷
   東京都世田谷区祖師谷6-17-7 

展示販売内容 桜の新作絵羽着物、反物、桜の帯揚げ・帯締め、裂小物など
お問い合わせ tel: 03-6411-1215 mail: gallery@ateliershimura.co.jp

 

〈展示販売商品〉

各地からいただいた桜の枝や幹を、じっくりと炊き出して染めた糸を使い、手織りで織り上げた様々な商品を展示販売いたします。
新作の絵羽着物は、桜色の濃淡による経縞に、桜や紫のぼかしを織り込み、まるで春をまとうかのような一枚に仕上がりました。色無地の反物は、桜の静かな美しさを全身で感じていただける一点。染め上がりの表情がそれぞれに異なる帯揚げや帯締めもご用意いたしました。ぜひお好みの色合いをお選びください。また、小さな裂を生かして制作した小物類からも、春の情景を感じていただけましたら幸いです。大切な方への贈り物にも、ぜひご活用ください。




◼︎関連トークイベント

髙山花子「声を織るーー石牟礼道子と桜のイメージ」
聞き手:志村昌司(アトリエシムラ代表)

このたび、明治大学の髙山花子さんをお迎えしてトークイベントを開催いたします。私たちと髙山さんとのご縁は、石牟礼道子原作、志村ふくみ衣装監修による新作能「沖宮」がきっかけでした。その後、石牟礼道子さんの読書会などを通じ、物語と「色」の結びつきについて共に思索を深めてまいりました。
先日、髙山さんは石牟礼さんの代表作『苦海浄土』に向き合った著書『世界のかなしみ—『苦海浄土』全三部作試解』を上梓されました。本イベントでは、同著にも通じる石牟礼作品の世界から、そこに咲く「花」や桜のイメージを紐解いていただきます。言葉と色が織りなす物語の風景を、皆様と分かち合えれば幸いです。ぜひご参加ください。

日時 3月8日(日)17:00〜18:30 
会場 アトリエシムラ Gallery&School 東京・世田谷
募集人数 12名 
参加費  2,200円(税込)

※前半は髙山花子さんの講義、後半は志村昌司とのセッションです。質疑応答の時間も設けます。
※後日、トークイベントの一部をYouTubeで配信いたします。

髙山花子(たかやまはなこ)
北海道伊達市出身。専門はフランス思想。2020年5月に東京大学で博士号取得(学術)。2025年4月より明治大学理工学部助教。最近の仕事に、単著『世界のかなしみ──『苦海浄土』全三部試解』(月曜社、2025年)がある。

 

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◼︎関連ワークショップ

期間中、桜染めや桜で染めた糸を使った機織りのワークショップをご用意しております。
桜は、花が咲く直前の枝や幹を焚き出すと、桜餅のような甘い香りと共に、優しく品のある柔らかな色がいただけます。桜の色と香りに包まれながら春の染めをお楽しみください。

光と風と色との出会い-桜染めの半日コース
糸の音色を奏でる-桜染めと機織りの1日コース 

*4・5月にも桜染めと機織りのワークショップを開催予定です。
詳細はこちら 

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